吉田豪が語る ジョニー大倉と矢沢永吉

(小林悠)あと、やっぱり気になるのは、いわゆる永ちゃんとあんまり仲がよくなかったんじゃないか?っていうのはよく言われますけど。これは実際、どうなんですか?


(吉田豪)そのキャロル時代のことがずーっと尾を引いてたのは間違いないんですけど。ただ、永ちゃんなりに『ジョニーすごい』っていう思いは絶対にあって。そもそもキャロルのコンセプト。リーゼントだとか革ジャンとか、オールディーズのロックンロールをやるっていうのも全部ジョニーさんの発案でありっていう感じで。永ちゃん、おかっぱ頭だったのをリーゼントにするように説得したりだとか。で、そもそもあれですよね。当時、ロックって、ロックを日本語で歌うか?英語で歌うか?の論争が起きていたような時代で。

(小林悠)へー!

(吉田豪)内田裕也さんが英語派で、はっぴいえんどが日本語で。どっちが正しい?みたいにやってた頃に、サラッと英語と日本語を混ぜた歌詞でロックをやったのがキャロルだったんですけど。あれがジョニーさんの発案なんですよ。

(玉袋筋太郎)すごいじゃない!ジョニーさん。

(吉田豪)すごいんですよ。ジョニーさんが作った英語の歌詞に対して永ちゃんが『日本語に直してくれ』って言ってきたんだけど、どうしても日本語が乗らないから、やさしい英語でもいいから残しておこうってことでできたのがその歌詞だったんですけど。で、後に永ちゃんがそのことを大絶賛してたんですよね。『ジョニー大倉がすごかったのは、簡単に英語と日本語を混ぜたこと。あれは本当に勲一等もののね、勲章を与えるべきだよ、みんな。いまの作詞家は』とか言ってたっていうのをジョニーさんに伝えたら、『えっ!?それ本当に永ちゃんが言ってんの?』みたいな感じで。『本当に!?嘘だー!』とか。『ええーっ、そうなんだ。うれしいこと言ってくれるじゃない!』みたいな感じで大喜びして。

(玉袋筋太郎)おうおうおう。

(吉田豪)だからジョニーさんとしてはとにかく、永ちゃんに構ってほしかったんですよ。間違いなく。ところが永ちゃんは金持ちケンカせずなタイプで。ジョニーさんがなにをやっても、『ジョニー、しょうがねえな』っていう感じでスルーしちゃうじゃないですか。だからそれで構ってほしくての活動だったと思うんですよ。ジョニーさんが突然焼肉屋をオープンしたらね、店の名前を『キャロル』にしたりとか。永ちゃん的には『お前、なにやってんだ?』っていう話だろうけど。こっちを向いてくれ!っていう感じだったと思うんですよね。

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